アンドロイド・オペラ『MIRROR』記者発表会。“不気味の谷”を超えていく、大阪の笑いとテクノロジー

この5月16日にフェスティバルホールで行われる渋谷慶一郎氏の
アンドロイド・オペラ『MIRROR』の記者発表会に行ってまいりました。

渋谷慶一郎といえば、あのボーカロイド「初音ミク」がデビューする際に
楽曲したことでも有名な作曲家なので興味津々。

AIを搭載したアンドロイドが歌い、高野山の声明が響き、
オーケストラが奏でる。

「すごいことになりそう」なこのプロジェクトですが、
会見の現場もまた、化学反応が起きていました。

アンドロイドを囲んで、まさかの師匠

会見には多くのメディアが詰めかけていましたが、
会場の空気を一変させたのは、
スペシャルゲストの海原はるか・かなた師匠
場が盛り上がってきたところで…。

マリアさんを囲んで、はるかさんが
「マリアちゃんの毛をフーしたいんやけど」と声をかけると、
なんと「私の髪は風でなびかへん仕様やねん」と答えたので、
思わず吹き出して大笑いしてしまった私。

えっ?!うそ!?
人とアンドロイドの会話が成り立った瞬間に立ち会えた。凄い!!

アンドロイドだけが佇んでいる空間は、少し「怖さ」や「不気味さ」を
感じる瞬間もありました。
しかし、お二人の漫才のおかげで、張り詰めた空気が一気に和み、
笑いの絶えない大阪らしい会見となりました。

世界で唯一のアンドロイド・オペラ「MIRROR」 大阪初演

今回の主役、アンドロイド「マリア」は、渋谷さんの亡き奥様がモデル。
キャッチコピーにある「生と死の境界を描く」という言葉、
実は昨日までピンときておりませんでした。

会見前、待機しているマリアの肩がゆっくりと上下しているのを見て、
私は最初「彼女も記者会見に緊張して、肩で息をしているのかしら?」
と思うのと同時に、まるで何かに操られるかのように
私の心臓がドキドキし始めたのです。

しかし、今朝目覚めた瞬間にハッとした。
あの静かな肩の動きは、かつて心臓病の叔父を見舞った
ICU(集中治療室)の光景だったことを。

生死の境で、叔父の心臓を動かし続けていた機械のピストンの動き。
マリアの呼吸(動き)は、まさに「生きるテクノロジー」。

その後、叔父はペースメーカーと共に教壇に復帰。
機械と身体が融合して「生」を繋ぐその姿こそが、
今回のオペラのテーマそのものなのではないかと。
アンドロイド・マリアとの距離が近くなったように感じた。

「人間と機械はどこまで交われるのか?」

生と死の境界を描く、世界で唯一のアンドロイド・オペラ。
その答えを探しに、フェスティバルホールへ足を運んでみませんか。


【公演情報】 第64回大阪国際フェスティバル2026

渋谷慶一郎 アンドロイド・オペラ『MIRROR』
 Deconstruction and Rebirth ―解体と再生―

大阪・中之島に生まれた「こども本の森」に行ってきました

大阪の中心部を流れる堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島公園にオープンした
「こども本の森 中之島」。待ちに待った7月の開館から、3カ月—。
ようやくネット予約で行ってきました。

大阪市出身の世界的な建築家・安藤忠雄氏設計。
弓なりにカーブした建物のなかは、吹き抜けで壁一面が本棚!

色とりどりの本の表紙が見えるように展示され、
まさに本の森に迷い込んだようで、わくわく。



▲入口のテラスでひときわ目を引く、大きな「青いりんご」オブジェ。
これは米国の詩人、サムエル・ウルマンの詩「青春」をモチーフに、
「若さとは、年齢でなく心の持ちようだ」というメッセージに共感し、
安藤氏自らがデザインしたそうです。

「子どもの頃に本を読む習慣がなくて、大人になって苦労した。今でも
おもしろい本に出会うと10代の頃に読んでおけばよかったと思うことがある」
という安藤氏。
小さい頃の感動はずっと残るものだから、この気持ちよくわかります。

図書は「自然とあそぼう」「動物が好きな人へ」「きれいなもの」
「ものがたりと言葉」「生きること・死ぬこと」「未来はどうなる?」など、
12のテーマに分類されています。それぞれのテーマに沿った本が並び、絵本や図鑑、
写真集、大型本など蔵書は1万8千冊。

親子連れが多く、「これ見たい」「あれとって」というかわいい声。思い思いの場所で本を広げ、読み聞かせをする姿が目に留まりました。

手の届かない上の棚にある本はどうやってとるのだろう?よく見ると、本はピアノ線で固定されていました。展示本は、同じ棚の一番下にもありましたが、見つからない場合はエプロンをした係員さんに相談してもよいのでは。




実際にわたしが手にしたのは、少女漫画の表紙を飾った中原淳一さんの作品集や、
なつかしの洋画集、世界の図書館の写真集、草間彌生さんの版画集など。
堂島川を望む窓側の席でゆっくりとページをめくりました。

子どもだけでなく、大人でもたのしめる「こども本の森」。
ぜひ大切な一冊を見つけてください。