中之島で近未来アートに触れる!フェスティバルホールでアンドロイド・オペラを体験

今年の「大阪国際フェスティバル」の目玉公演、渋谷慶一郎氏が手がける
≪アンドロイド・オペラ「MIRROR」≫に行ってきました。
どのような舞台になるのか、開幕前から興味津々。

会場に到着してみると、若い観客の多さに驚きました。
小中学生の親子連れも目立ち、流石に初音ミクなどのボーカロイドオペラを手がけてきた、
渋谷氏の影響力の大きさを実感します。

今回は文化庁の支援事業により、300人の子どもたちが招待されたそうです。
次世代に最先端アートを体感できる素晴らしい試みだと感じました。

休憩中の撮影タイムにて。アンドロイド・オペラ「MIRROR」。

進化するAIと、アンドロイド「マリア」が見せたユーモア

ここ1〜2年におけるフィジカルAIの進化には、目を見張るものがあります。
今や2足歩行だけでなく、走ることさえできる時代です。

この舞台には、渋谷氏の最愛の妻を模した美しいアンドロイド「マリア」が登場します。
AIは暴走すると、ものすごい早口で話す特性があるそうです。
当日、渋谷氏が会話を遮ると、マリアさんはしばし沈黙して目をパチクリさせました。
「怒ったのか、それとも考え中なのか」。
人工知能と人間による絶妙な沈黙の掛け合いに、客席からは思わず笑い声が漏れます。

 

圧巻の演出!オーケストラと高野山「声明」との融合

注目は、大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏と、
1200年の歴史を持つ仏教音楽「声明(しょうみょう)」、
そしてアンドロイド「マリア」との歌唱の融合。
昨年11月の東京初演で感動を呼んだ話題作に20人の僧侶が集結。

「音楽の殿堂」=フェスティバルホールは、「天から音が降り注ぐ」といわれていますが、
まさに声明が上から聞こえたと思った瞬間、
1階後方の扉が開き、数人の僧侶たちが声明を唱えながらスポットライトに導かれ入場。
左右のバルコニー席の僧侶らの厳かな声明が会場に響き渡り、魂を揺さぶる。

別の楽曲では、金管楽器の奏者がバルコニー席から演奏するなど、
ステージと観客席が一体となり、次は何が起こるのかという緊張感。
その場の熱量と迫力に深く魅了されました。
大阪での初ステージを鑑賞できたことに感謝です。

ステージと観客席が一体となった演出に感激。開幕前にパチリ

五感を刺激するテクノロジーと、世界へ向かう祈り

舞台上の大型スクリーンには、瞬きするマリアさんが大写しされ、
美しいアート映像とともに、英語と日本語の字幕が流れ、
音楽、照明、レーザービームがシンクロし、歌いながら指揮振りするマリアさんに感嘆!
世界で活躍する渋谷氏ならではの、目を見張る演出でした。

私のお気に入りの楽曲は『BLUE』。
そして映画『ミッドナイトスワン』のメインテーマも、
渋谷氏の作品であったことを知り、思わず口ずさんおりました。

渋谷氏のステージトークの中で、ウクライナでの今年10月の公演開催が決まった
と発表された。ウクライナは、マリアさんの生まれ故郷。
そしてソフィア・ローレン&マルチェロ・マストロヤンニ主演の
不朽の映画『ひまわり』の舞台。
さらに150年以上の伝統を受け継ぐ名門歌劇場、
ウクライナ国立歌劇場(旧キエフ・オペラ)があるオペラの本拠地での公演に大いに期待したい。

是非アンドロイド「マリア」さんの凱旋公演を成功裏に果たせますように!!
早く、戦争が終結し、

まさに故郷での「Rebirth(再生)」となる公演を心から祈っています。

最先端のテクノロジーと音楽を融合させた演出を手がけた渋谷慶一郎氏

アンドロイド・オペラ『MIRROR』記者発表会。“不気味の谷”を超えていく、大阪の笑いとテクノロジー

この5月16日にフェスティバルホールで行われる渋谷慶一郎氏の
アンドロイド・オペラ『MIRROR』の記者発表会に行ってまいりました。

渋谷慶一郎といえば、あのボーカロイド「初音ミク」がデビューする際に
楽曲したことでも有名な作曲家なので興味津々。

AIを搭載したアンドロイドが歌い、高野山の声明が響き、
オーケストラが奏でる。

「すごいことになりそう」なこのプロジェクトですが、
会見の現場もまた、化学反応が起きていました。

アンドロイドを囲んで、まさかの師匠

会見には多くのメディアが詰めかけていましたが、
会場の空気を一変させたのは、
スペシャルゲストの海原はるか・かなた師匠
場が盛り上がってきたところで…。

マリアさんを囲んで、はるかさんが
「マリアちゃんの毛をフーしたいんやけど」と声をかけると、
なんと「私の髪は風でなびかへん仕様やねん」と答えたので、
思わず吹き出して大笑いしてしまった私。

えっ?!うそ!?
人とアンドロイドの会話が成り立った瞬間に立ち会えた。凄い!!

アンドロイドだけが佇んでいる空間は、少し「怖さ」や「不気味さ」を
感じる瞬間もありました。
しかし、お二人の漫才のおかげで、張り詰めた空気が一気に和み、
笑いの絶えない大阪らしい会見となりました。

世界で唯一のアンドロイド・オペラ「MIRROR」 大阪初演

今回の主役、アンドロイド「マリア」は、渋谷さんの亡き奥様がモデル。
キャッチコピーにある「生と死の境界を描く」という言葉、
実は昨日までピンときておりませんでした。

会見前、待機しているマリアの肩がゆっくりと上下しているのを見て、
私は最初「彼女も記者会見に緊張して、肩で息をしているのかしら?」
と思うのと同時に、まるで何かに操られるかのように
私の心臓がドキドキし始めたのです。

しかし、今朝目覚めた瞬間にハッとした。
あの静かな肩の動きは、かつて心臓病の叔父を見舞った
ICU(集中治療室)の光景だったことを。

生死の境で、叔父の心臓を動かし続けていた機械のピストンの動き。
マリアの呼吸(動き)は、まさに「生きるテクノロジー」。

その後、叔父はペースメーカーと共に教壇に復帰。
機械と身体が融合して「生」を繋ぐその姿こそが、
今回のオペラのテーマそのものなのではないかと。
アンドロイド・マリアとの距離が近くなったように感じた。

「人間と機械はどこまで交われるのか?」

生と死の境界を描く、世界で唯一のアンドロイド・オペラ。
その答えを探しに、フェスティバルホールへ足を運んでみませんか。


【公演情報】 第64回大阪国際フェスティバル2026

渋谷慶一郎 アンドロイド・オペラ『MIRROR』
 Deconstruction and Rebirth ―解体と再生―

大阪・中之島に生まれた「こども本の森」に行ってきました

大阪の中心部を流れる堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島公園にオープンした
「こども本の森 中之島」。待ちに待った7月の開館から、3カ月—。
ようやくネット予約で行ってきました。

大阪市出身の世界的な建築家・安藤忠雄氏設計。
弓なりにカーブした建物のなかは、吹き抜けで壁一面が本棚!

色とりどりの本の表紙が見えるように展示され、
まさに本の森に迷い込んだようで、わくわく。



▲入口のテラスでひときわ目を引く、大きな「青いりんご」オブジェ。
これは米国の詩人、サムエル・ウルマンの詩「青春」をモチーフに、
「若さとは、年齢でなく心の持ちようだ」というメッセージに共感し、
安藤氏自らがデザインしたそうです。

「子どもの頃に本を読む習慣がなくて、大人になって苦労した。今でも
おもしろい本に出会うと10代の頃に読んでおけばよかったと思うことがある」
という安藤氏。
小さい頃の感動はずっと残るものだから、この気持ちよくわかります。

図書は「自然とあそぼう」「動物が好きな人へ」「きれいなもの」
「ものがたりと言葉」「生きること・死ぬこと」「未来はどうなる?」など、
12のテーマに分類されています。それぞれのテーマに沿った本が並び、絵本や図鑑、
写真集、大型本など蔵書は1万8千冊。

親子連れが多く、「これ見たい」「あれとって」というかわいい声。思い思いの場所で本を広げ、読み聞かせをする姿が目に留まりました。

手の届かない上の棚にある本はどうやってとるのだろう?よく見ると、本はピアノ線で固定されていました。展示本は、同じ棚の一番下にもありましたが、見つからない場合はエプロンをした係員さんに相談してもよいのでは。




実際にわたしが手にしたのは、少女漫画の表紙を飾った中原淳一さんの作品集や、
なつかしの洋画集、世界の図書館の写真集、草間彌生さんの版画集など。
堂島川を望む窓側の席でゆっくりとページをめくりました。

子どもだけでなく、大人でもたのしめる「こども本の森」。
ぜひ大切な一冊を見つけてください。